有料老人ホームの対象の拡大と、入居一時金の保全義務
高齢化社会の備えとして、いろいろな形態の高齢者向け住宅や施設がオープンしています。多種多様な選択肢が増えることは、歓迎すべきことです。しかしその一方で、運営がずさんであっても、既存の法律では行政のチェックを受けずに済むものがあるなどの問題がありました。こういった施設等で暮らす高齢者を保護するため、2006年4月から老人福祉法が改正されました。今回は改正の大きなポイントである、「有料老人ホームの対象拡大」と「入居一時金の保全義務」について取り上げます。
●有料老人ホームの対象拡大
老人福祉法の改正で、有料老人ホームの対象が広がることになりました。
老人を対象とする施設等のうち、「入居者が10人以上」で、「食事サービスを提供している」ものという条件が、改正後は「人数要件は撤廃」され、「1)介護 2)食事 3)家事 4)健康管理 のいずれかのサービスを提供」しているものとなったのです(特養や認知症対応のグループホームなどは除く)。
改正により、これまで対象外だった9人以下の小規模施設や、食事以外の介護や家事援助サービスのみを行っていた高齢者住宅や施設も、法律上は有料老人ホーム扱いとなります。
有料老人ホームとみなされると、都道府県への届出、帳簿の保存等が義務付けられ、また必要であれば、都道府県知事は立ち入り検査を行ったり、改善命令を出したりすることができます。
●入居一時金の保全の義務付け
また、有料老人ホームに入居する場合の入居一時金(前払金)について、その算定基礎を書面で明示し、かつ当該入居一時金(前払金)について返還債務を負うこととなる場合に備えて、500万円を上限に、厚生労働省令で定めるところにより必要な保全措置を講じなければならない、ということになりました。500万円は十分な額ではないかもしれませんが、一歩前進といえるでしょう。
厚生労働省で定めている入居一時金の保全方法には、1)銀行等による連帯保証 2)指定格付け機関による特定格付けが付与された親会社による連帯保証 3)保険会社の保証保険 4)1~3に準ずるものとして都道府県知事が認めるもの(全国有料老人ホーム協会の入居者基金制度)があります。
保全が義務付けられるのは、原則として2006年4月以降に届出をしてオープンする施設等ですが、義務ではなくても保全措置の有無は、重要なチェックポイントとなります。契約書には必ず記載されているので、入居前には必ず確認しておきましょう。
読売新聞タグ: 入居一時金, 有料老人ホーム
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